『西洞院辻ケ花』

夢か現か、幻の染め
室町から桃山時代に花開き、
江戸時代の幕開けとともに忽然と姿を消してしまった幻の染「辻ケ花」。
現代まで数世紀もの間、姿を消していた「辻ケ花」に新しいいのちを吹き込み、「西洞院辻ケ花」として蘇らせました。
「辻ケ花」を構成するのは、絞りと墨絵。絞り染は、昔ながらの方法桶だし絞りや小帽子で模様を描き出します。小帽子は和紙と竹の皮とを糸で括り、
桶だし絞りは桶の中に染めたくない部分を入れ込み蓋できつく絞り、染料に浸し染めます。ひとつひとつ気の遠くなるような作業を繰り返すことで染模様が浮かび上がります。その絞りの合間に墨絵が描かれます。
墨絵には室町桃山という乱世を生きた人々の“祈り”や“願い”が込められているといいます。
先々まで美しく延び咲く藤の花には「子孫繁栄」。力強く咲く椿は「生命力」。朝咲いて夕べには散る沙維双樹の花は「時の儚さ」など……。
見えないはずの花の萼が表に描かれたり、海の貝と空の星が共に描かれたりもします。
また南蛮人がもたらした西洋のデザイン“十字架”や“天使”までもが文様となり、絵となり、着物に込められ、独特な世界観を醸し出しているのです。
「辻ケ花」だからこそ、私たち現代人の心を掴んでしまう魅力があるのかもしれません。